お知らせ

2021-03-27 11:50:00
MATLAB trial

近年自動車分野での解析ソフトMATLABの活用が盛んである。

様々な応用がなされているが、その基本は線形代数学に準拠している。

本HPでは手始めとしてそのグラフィック機能を活用した例を紹介する。

ご興味あれば本HPの中のテクニカル講座をご参照願います。

2021-03-11 11:43:00

車両企画の初期段階で前後のばね定数を決めるプロセスがある。

初歩的にはは前後のバネ上分担荷重から固有振動数を計算する。

自動車の振動モードは上下のバウンシングとピッチングの組み合わさったものであり、初歩的な見積もりでは現象を把握しきれない場合がある。

特にトラックはピッチングモードの慣性モーメントが大きいため分担質量とバネ定数だけでの算出では誤差が大きい。さらにフレームの曲げ剛性が振動モードに寄与することが振動の予測を難しくする公算がある。簡単なモデル化を諦めて最初から精細なCAEモデルを作成することもありうるがその最初の狙いのパラメーター決めるためにやっぱり単純なモデル化が不可避かということになる。

2021-01-22 21:01:00

米国ではかつてキャビンの形をヨーロッパのようにキャブオーバーとするかエンジン格納をドライバーの前部に置くコンベンショナルタイプとするかの論争があったと聞いている。

結局コンベンショナルタイプに軍杯が上がった。

スペースの有効活用より衝突安全性が重要であるとの判断であろう。

日本のキャブオーバー型のトラックにおいては法規上では加害性に関する規定があって、フロントオーバーランプロテクター(FUP)の装着が車両総重量が一定以上の車両に義務化されている。リヤにも同様のプロテクターが乗用車との衝突時の潜り込み防止のために義務づけされている。

ドライバー保護のための基準は各OEM独自に検討されている。

キャブチルトヒンジブラケットは通常鋳物製であるが衝突事故時にどういう変形をするかを考慮する。

最悪のケースは鋳物部品の破断・キャブの脱落という形態であろう。

事故後ボルトの1本でも変形しながらでも残存していてフレームに結合されているなら、乗員が離脱したキャブと共に反対車線に投げ出される確率は少なくなる。

この実現のためにチルトヒンジブラケットをキャブに取り付けるボルトの本数とサイズをを必要最小限とする。

締結が強固すぎればボルトをフューズにするというシナリオが崩れるからである。

CAEで衝突のシミュレーションを実施して変形モードを確認しながら設計の妥当性を検証するということが行われる。

2021-01-19 20:29:00

キャビンのチルト中心周りの慣性モーメントの違いによって大型中型小型のそれぞれのキャブオーバートラックの機構が異なる。

大型は油圧シリンダーで持ち上げる方式に対して中型は2本のトーションバーと左右のフレームに設置されたアンカーを中心とした捩りモーメント反力によって持ち上げる方式をとる。

小型はトーションバー1本を用いてステアリングギヤと反対側のフレーム上に設置されたアンカー中心の反力モーメントをパイプに伝えてそれに溶接されたブラケットをキャブのアンダーフレームに固定させた構造をとっている。

この方式はフレームの一方に大きなねじりモーメントを生じる。この結果、車体の左右傾斜につながり、リーフサスペンション仕様で通常のCチャンネルフレームの場合この傾向が顕著になる。

ボックスフレームもしくはIFS車では問題化していない。

中型は左右が均衡しているので問題化していない。

大型のキャブエアサスペンション仕様ではチルトが構造上2段階となる。最後のアクションでキャブが急速にチルトする現象がある。これを防止する策が必要である。一つはキャブの自然落下(チルトの最終段階)に抵抗を設ける方法もあるがスマートにはチルトシリンダーの方向を変えて最後までチルトシリンダーでコントロールする方法もある。

2021-01-12 16:50:00

モバイルクレーンという車両形態においてシャシーフレームは箱型の閉断面である。

長いブームを持つクレーンが作業しているときに発生するモーメントに対抗するために高剛性のシャシーフレームが必要であるためである。

一般車両の場合、ほとんどはこれほどのねじり剛性を必要としていないがこれにも例外がある。

2トン積みクラスの小型トラックにおいて昔はマツダとダイハツ製のダンプ専用のトラックのサイドフレームを閉断面としてそれをパイプクロスメンバーで結合した構造を採用していた。現在は全てのメーカーがこの構造を真似ている。

西日本のメーカーからこの構造を採用してきたのには理由がある。ダンプは土砂をベッセルで持ち上げて後ろに滑り落とすが、土砂が関東ローム層のようなサラサラな土砂の場合は問題ないが粘土質の成分が多いと滑り落ちずに重心位置が高くなる。この結果車両の横転につながる。土砂には地域性があり、例えば青丹よしという枕詞は奈良の都にかかるように奈良を中心とした関西エリアでは粘土質の土が主流である。因みに青丹というのは青色の粘土を示すと言われている。関東のメーカーであるいすゞがこの対応をしたのはだいぶ後になってからであったと思う。

この箱型断面のフレームは通常のC型断面のフレームに対してねじり剛性が10倍ほどある。

小型のダンプトラックの使い方の中で、ゆっくり走りながらベッセルをあげて土砂を少しずつ撒く形態があり、普通のC型フレームの場合ベッセルが傾いた時フレームがねじれて運転手に傾きが即座に検知されず転倒回避操作が遅れて転倒に至る例が多発した。フレームを閉断面化して解決した。