「ホイールを発明する」という英語の表現は、わかりきったことを今更やり直すという意味です。
自動車においては文字通りには解釈されません。
「空飛ぶタイヤ」という小説が話題になったことがありました。走行中の大型トラックの前輪が外れて人を死に至らしめたという不幸な出来事です。
その原因は整備不良ではなく設計不良であったという結論に至る努力がテーマであったと思います。
不具合箇所はトラック前輪のハブという部品の筒状からフランジ状に変化する部分で、不具合現象は旋回時に路面とタイヤの間い働くコーナリングフォースによる曲げモーメントを
タイヤ回転を一周期として繰り返し受けここが疲労し亀裂が入った状態で走行中に脱輪したものと想定されます。
当時はトラックへのラジアルタイヤ装着が行われ始めたころですが、横方向の踏ん張り力が大きいのが特長でした。
これは操縦安定性の見地からはプラスですが強度の面からは注意すべきことでした。
また当時のトラックの耐久性の評価は悪路の上下入力中心で、欧州のように制動時や旋回時の入力を重視していませんでした。
不具合を認めた後、その会社は巨額のリコールを実施しましたが、ドイツでは想定できないことのようです。
おそらくホイール回りの安全を重視されるべき部品は各社共通のサプライヤーが担当しており設計も同様であるからではと推察します。
技術革新が著しい部位においては各社のユニークな設計をして競合することで社会に貢献できるのでしょうがコモディティ部品に独自性を持ち込むことは愚策のようです。
「ホイールを発明する」必要はありません。
6x4HDTにおいて後軸間のYAW方向の平行度が走行安定性を維持しタイヤの摩耗を適正化する意味から重要であると主張してきた。
メカニズムはテクニカル講座に示している。
現在知りうる限り、VOLVOトラックなどヨーロッパOEMは1/1000rad以内に管理されているという。
日本であるメーカーの抜き打ち調査を試みたが3/1000rad程度であった。
中国でかつて技術指導していた時その値は10/1000radを超えていた。さすがにフロントタイヤの偏摩耗が問題となっており
ハンドホイール取られの苦情が報告されていた。
検査ラインに計測装置を導入して全数検査するまでにはその当時いかなかったがアフターサービス用の装置を仮導入して検査をトライすることはできた。
その結果状況は改善された。
日本のOEMへも装置導入を図ったが外資系の約1社が消極的であった他は導入に前向きであった。
シャシーの技術において一般的に中国のOEMは日本の(コストダウンにしか関心がなさそうな)OEMより将来性があると感じている。
フロント独立懸架のカットモデル 1993年東京モーターショーに展示のものがSAEマガジンに掲載
アメリカオレゴン州ポートランドの景色 ここ最近頻繁に出張した
ロンドンのミレニアル橋夜景 補強工事前は人の歩行振動で共振不具合あり
中国万里の長城 北京へは数回しか行ったことはないが中国の象徴として掲載した
フランス モネの庭
中国のベンチャー企業EVの試作車