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2024-11-30 12:36:00

中国のベンチャー企業の試み

今から7年ほど前、中国の小型モーター製造会社が電気自動車の開発製造業に参入したいということで技術指導の

要請があり、報酬に釣られて現地で仕事をしたことがありました。

社長の壮大な計画を実行するのは、社長の甥のエンジニアを中心とした数人の若手とモーターのエンジニア

のチームで、自動車関係は私を含めた数名の日本人のエンジニア経験者でした。

自動車会社をゼロから創設するには規模が小さすぎると思いましたがまずはプロトタイプ車を作ることから始めました。

サプライヤーを探すためにいろいろ折衝を試みました。

当時の中国には対米輸出の実績がある優良企業が育ちつつありました。

また日系企業も中国で工場を持っているところもありました。

プロトタイプ車は完成したものの社長の方針が曖昧で、計画は前に進まなくなり、

広大な工場用敷地はほとんど手付かずのまま生産に至らなかった模様です。

開発の組織形態を形成できなかったことが敗因と思います。

現地の大手企業からスカウトしてきたチーフエンジニアがすぐにスピンオフするなど

マネジメントの失敗が見られました。その時点で日本に帰りました。

中国の金持ちの一時的な道楽に付き合わさせましたが、良い経験でした。

 

 

2024-11-28 22:37:00

ハブ

一時代前の話ですが、大型トラックの前輪が外れて坂道の下にいた主婦が不幸にも犠牲になった事故がありました。

それは、空飛ぶタイヤという小説になりました。

当時、私は被告の三菱ふそうのフレーム担当グループ長として勤務していました。

アクスルの設計担当者に対して警察の事情調査が行われましたが、警察の捜査方針が設計者ではなく会社の幹部の責任を

問うという方針の転換がなされたうようです。

問題の部位はハブという部品で、ホイールベアリングの外側の動体部分とホイールとの結合部が一体になった部品でした。

この結合方式は日本独特の方式であることがベンツのアドバイスで知りました。

ベンツの方式は胴部とフランジ部を別体にしてボルトでしっかり結合する形態でした。

ハブのフランジと胴部の結合箇所にはタイヤと地面から発生する横力が大きく作用して当該の部分の疲労

が発生します。不具合発生の当時はタイヤがラジアルタイヤへの変更機で従来の常識から大きく離れた入力が発生していました。

当時の試験標準では横力の作用を軽視していたためこのような不具合に陥ったと思われます。

この事故で会社の責任が大きく問われました。

開発部門の権威主義 事なかれ主義 が問われて然るべきです。

マネージャーの人選を誤まると会社を危機に貶める実例です。

周辺状況の変革期においては担当マネージャーの力量が大きくものを言います。

うまくいっていた時期の凡庸なマネージャーは変動に対しての対応が遅れがちです。

現在、バッテリーの革新の時期です。

自動車会社において、マネージャーの人選は会社の将来を

左右します。

心して人選をしていただきたいと思います。

2024-11-28 17:15:00

品質管理

トラックのステアリング系の担当をしていた時、急にハンドルの操作が重くなったというクレームがありました。

 

高速走行時に発生したら人命に関わる大きな問題になったと思われます。

幸いこの現象は低速走行時にのみ発生するということでした。

最終的にはリコールしましたが、原因を究明にはずいぶん手間をかけました。

ステアリングギヤはインテグラル型というものでした。

この機構は歴史が長く、トラックの車軸車には定番のものです。

基本的にはステアリングポンプで生成した油圧をパワーピストンが受けてパワーアシストとして機能します。

この変異をピットマンアームの回転に変換して操舵力にします。

問題はハンドホイールの回転をシリンダーの並進変異に変換する機構です。

リサーキュレーティングボールというボールベアリングを使ってステアリングシャフトの回転運動をピストンの並進運動に

変換することがこの機構の肝の部分です。

ボールベアリングはピストンの並進運動をスムーズにする働きをしています。

このベアリングはステアリングシャフトの外周の溝の中を流れるのですが、ボールの供給と

回収の機構が必要となります。その循環の経路にスチール製の樋を使うのですが、

不具合車の場合、そのスチール製の樋が何らかの原因で破損したという稀な現象でした。

原因を究明する試験を繰り返しましたがやっと見つけたのが縁石に接触したタイヤをゆっくり操舵して

車両を発進した時、スチールの樋に高い応力が瞬時に発生することを実証しました。

宅配車の特殊な使用状態がここで少し明らかになったと思います。

 

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2024-11-22 13:02:00

SNS

近年、選挙の投票行動に対するSNSの影響が話題になっています。

インフルエンサーと呼ばれる人達に強く影響を受けやすい媒体で、

多くの人々に対する従来の媒体では、ファクトチェックが慎重にされるのに反して

SNSではよく吟味されていない情報が簡単に発信される傾向があります。

その結果、深く考えることをしない情報の受け手が間違った情報を信用して

さらにそれを拡散するという事態にもなりかねません。

私も技術情報を中心にブログを公表していますが、間違いをなるべく避ける努力はしていますが100%の自信はありません。

間違いがあったらすぐに訂正する姿勢が大切です。

2024-11-20 14:57:00

メンテナンス

日産リーフの分解調査に立ち会う機会がありました。

シャシー関係を重点的に調査しました。

構造は標準的なもので驚くことはなかったものの

レイアウトが煩雑で分解しにくいのは致し方ないのではと思いました。

設計の段階で、整備性に配慮すべきと言っても、切羽詰まった状態では一般的にその余裕がないのは

私も経験しております。

整備性をもっと尊重すると、違った設計になったのではないかとは思います。

設計者に時間と工数の制約があって、分解と再組立まで配慮する余裕がないのが一般的です。

商品力としての整備性が重視されてはいないのはよくあることです。

スタビライザーは最後にレイアウト設計するのか、非常に複雑な形になっています。

ごちゃごちゃ曲げても一般的に機能上は問題ないことが、この複雑さが残る理由でしょう。

整備性を重視した設計というのは掛け声だけになることがよくあることです。

日本車は中国を含めた海外の電気自動車に比べて、今でもなお、スチールの使用割合が高いと感じたのは、

分解作業場に外国製の車両(欧州、米国、中国、韓国)も分解調査されているのを見て、比較できたためです。

アルミニウムのギガキャストは部品の結合部を省略できろ反面、設備投資に莫大な費用を要するので経営者の思い切った決断が必要です。

リスクを嫌うであろう日本の経営者にはハードルの高い決断と思われます。

またコスト面でスチール製が優っていることもあって日本では今まで普及していません。

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