近年自動車分野での解析ソフトMATLABの活用が盛んである。
様々な応用がなされているが、その基本は線形代数学に準拠している。
本HPでは手始めとしてそのグラフィック機能を活用した例を紹介する。
ご興味あれば本HPの中のテクニカル講座をご参照願います。
車両企画の初期段階で前後のばね定数を決めるプロセスがある。
初歩的にはは前後のバネ上分担荷重から固有振動数を計算する。
自動車の振動モードは上下のバウンシングとピッチングの組み合わさったものであり、初歩的な見積もりでは現象を把握しきれない場合がある。
特にトラックはピッチングモードの慣性モーメントが大きいため分担質量とバネ定数だけでの算出では誤差が大きい。さらにフレームの曲げ剛性が振動モードに寄与することが振動の予測を難しくする公算がある。簡単なモデル化を諦めて最初から精細なCAEモデルを作成することもありうるがその最初の狙いのパラメーター決めるためにやっぱり単純なモデル化が不可避かということになる。
米国ではかつてキャビンの形をヨーロッパのようにキャブオーバーとするかエンジン格納をドライバーの前部に置くコンベンショナルタイプとするかの論争があったと聞いている。
結局コンベンショナルタイプに軍杯が上がった。
スペースの有効活用より衝突安全性が重要であるとの判断であろう。
日本のキャブオーバー型のトラックにおいては法規上では加害性に関する規定があって、フロントオーバーランプロテクター(FUP)の装着が車両総重量が一定以上の車両に義務化されている。リヤにも同様のプロテクターが乗用車との衝突時の潜り込み防止のために義務づけされている。
ドライバー保護のための基準は各OEM独自に検討されている。
キャブチルトヒンジブラケットは通常鋳物製であるが衝突事故時にどういう変形をするかを考慮する。
最悪のケースは鋳物部品の破断・キャブの脱落という形態であろう。
事故後ボルトの1本でも変形しながらでも残存していてフレームに結合されているなら、乗員が離脱したキャブと共に反対車線に投げ出される確率は少なくなる。
この実現のためにチルトヒンジブラケットをキャブに取り付けるボルトの本数とサイズをを必要最小限とする。
締結が強固すぎればボルトをフューズにするというシナリオが崩れるからである。
CAEで衝突のシミュレーションを実施して変形モードを確認しながら設計の妥当性を検証するということが行われる。