2021-01-12 16:50:00
モバイルクレーンという車両形態においてシャシーフレームは箱型の閉断面である。
長いブームを持つクレーンが作業しているときに発生するモーメントに対抗するために高剛性のシャシーフレームが必要であるためである。
一般車両の場合、ほとんどはこれほどのねじり剛性を必要としていないがこれにも例外がある。
2トン積みクラスの小型トラックにおいて昔はマツダとダイハツ製のダンプ専用のトラックのサイドフレームを閉断面としてそれをパイプクロスメンバーで結合した構造を採用していた。現在は全てのメーカーがこの構造を真似ている。
西日本のメーカーからこの構造を採用してきたのには理由がある。ダンプは土砂をベッセルで持ち上げて後ろに滑り落とすが、土砂が関東ローム層のようなサラサラな土砂の場合は問題ないが粘土質の成分が多いと滑り落ちずに重心位置が高くなる。この結果車両の横転につながる。土砂には地域性があり、例えば青丹よしという枕詞は奈良の都にかかるように奈良を中心とした関西エリアでは粘土質の土が主流である。因みに青丹というのは青色の粘土を示すと言われている。関東のメーカーであるいすゞがこの対応をしたのはだいぶ後になってからであったと思う。
この箱型断面のフレームは通常のC型断面のフレームに対してねじり剛性が10倍ほどある。
小型のダンプトラックの使い方の中で、ゆっくり走りながらベッセルをあげて土砂を少しずつ撒く形態があり、普通のC型フレームの場合ベッセルが傾いた時フレームがねじれて運転手に傾きが即座に検知されず転倒回避操作が遅れて転倒に至る例が多発した。フレームを閉断面化して解決した。