お知らせ

2020-12-16 11:48:00

中国がまだ開発途上にある1980年代、三菱グループが対中大型商談を成立させて大型トラックの

輸出を開始したもののフレームなどの不具合が続出して数百億円規模の賠償金を払わされた事件がありました。数次にわたる”対策”は亀裂部の補強策で不具合箇所が次々と移動するだけで改善には至らなかったと推察します。当時は、何か人為的な破壊かとの説やとんでもない悪路走行かとか噂されていました。

事件が落ち着いた後フレームの設計に対する考え方を整理して改善策を恒久対策としています。

原因を整理すると、従来のように、大きな力の入力に対して剛性増大のみで対処するという対応が必ずしも有効ではなかったということです。力の大入力ではなく路面の大変異に起因する入力に対処すべきであったということです。具体的には悪路走行時にフレームにねじり変異が入ってサイドレールとクロスメンバーのボルトなどでの締結部に高応力が発生したと思われます。サイドレールは竪壁(ウエブ面)と水平面(フランジ面)とで成り立っていますが、従来、横渡し部材(クロスメンバー)との締結をフランジ面に設置して簡素化を図っていましたが、この構造では締結部に複雑な変形モードが発生します。これが高応力につながったと想定されます。正解はクロスメンバーをウエブ面に締結するということです。

インドネシア輸出で実績のあった小型トラックの設計はこのような変形モードにすでに対処しておりました。また欧米の大型トラックも対処済でした。当時の日本の大型トラックメーカーはまだどこも未対応でしたが現在は主要なメーカーは対応済です。ベンチマークをお家芸とする中国製のトラックも現在対応済で今やデファクトスタンダードとなっています。