お知らせ

2020-11-30 12:43:00

 

2020年11月30日

11:45

自動車の開発といっても乗用車とトラックではそれを取り巻く文化が異なることが多い。

両者を商品化している会社ではそれぞれの開発グループの情報が互いに孤立していることがある。

社長の下にいるそれらを統括する幹部はなんとか両者を交流させて良い結果を生み出したいと思うがなかなか思い通りには行かない。

技術交流会を試みたりそれぞれの組織の管理職を入れ替えたりといったことをするが成果が出た形跡はない。

挙げ句の果てにそれぞれを別のグローバル組織の傘下にして別会社したところもある。

そもそも文化の違いはBtoCビジネスの乗用車とBtoB的色彩が濃いトラックビジネスのちがいに端を発している。

トラックは顧客がある程度掌握できて比較的少量生産であるのに対して乗用車は不特定多数の顧客相手の大量生産という違いがある。

筆者は乗用車の組織でエンジニアとしての基礎教育を受けその後トラック部門で中間管理職を経験したので両方の風土を経験した。

乗用車組織でたたき込まれるのはことは時間の観念であり、例えば朝令暮改に慣れよとか不具合は即対処せよといったことであるがこれにはトラックの組織で育った人には強い違和感がある。

トラック開発の前提は開発対象のサイズが大きいので実態の試験が容易ではないためシミュレーションや部分的な台上試験を重視する傾向が強い。このため物の見方が演繹的にならざるをえないことがある。したがって実車での試験で不具合が発生したり市場での不具合情報が入ってもこれを重大な事故の兆候とはとらえずにn=1の現象であるとして無視する傾向がある。

開発の周辺状況の変化がゆっくりの時はよいが状況が大きく変化する場合問題であるのはコロナ感染者に対する処置の過ちに似ている。