2020-11-28 14:51:00
「ホイールを発明する」という英語の表現は、わかりきったことを今更やり直すという意味です。
自動車においては文字通りには解釈されません。
「空飛ぶタイヤ」という小説が話題になったことがありました。走行中の大型トラックの前輪が外れて人を死に至らしめたという不幸な出来事です。
その原因は整備不良ではなく設計不良であったという結論に至る努力がテーマであったと思います。
不具合箇所はトラック前輪のハブという部品の筒状からフランジ状に変化する部分で、不具合現象は旋回時に路面とタイヤの間い働くコーナリングフォースによる曲げモーメントを
タイヤ回転を一周期として繰り返し受けここが疲労し亀裂が入った状態で走行中に脱輪したものと想定されます。
当時はトラックへのラジアルタイヤ装着が行われ始めたころですが、横方向の踏ん張り力が大きいのが特長でした。
これは操縦安定性の見地からはプラスですが強度の面からは注意すべきことでした。
また当時のトラックの耐久性の評価は悪路の上下入力中心で、欧州のように制動時や旋回時の入力を重視していませんでした。
不具合を認めた後、その会社は巨額のリコールを実施しましたが、ドイツでは想定できないことのようです。
おそらくホイール回りの安全を重視されるべき部品は各社共通のサプライヤーが担当しており設計も同様であるからではと推察します。
技術革新が著しい部位においては各社のユニークな設計をして競合することで社会に貢献できるのでしょうがコモディティ部品に独自性を持ち込むことは愚策のようです。
「ホイールを発明する」必要はありません。