電気自動車のシャシー構造を説明するのがこのウエブページのテーマですが
関連する情報を軽く扱うページを作りました。
よく自動車のサスペンションってなーにという質問を受けます。
私はもともと2トントラックの設計をしておりまして、設計の実務はこの形態からスタートしております。
これはこれでそれなりの技術課題はあるのですが乗用車や大型トラックまで含めたもっと広い技術的な課題を
追及する方が面白いので、現在専門分野を拡大しております。
乗用車のサスペンションは主にコイルスプリングとショックアブソーバー(ダンパー) リンク ブッシュ バンプストッパー スタビライザー等で構成されています。
前輪のコイルスプリングのばね定数を例えば8.300N/mmとして1輪当たりの負荷を300kgの場合、上下の固有振動数を概算すると約1Hzの上下振動系となります。
乗用車の振動はピッチングとバウンシングから成り立っており、一般的にはピッチングは乗り心地の悪化につながりなるべく影響を小さくしたいものです。
スプリングの圧縮と伸びはゴムのストッパーで制限されており、圧縮側はばねの寿命を規定の値とすべくストロークを制限する目的、伸びの制限は
ジャッキアップ時にタイヤを車体から離れないようにする目的です。
スプリング圧縮時にバンプストッパーラバーの作用によってばね定数をある程度制御します。(ばね圧縮時にラバーがたわみばね定数を上げて負荷に応じた固有振動数に近づける)
乗用車では乗り心地のモードを切り替える装置が備えられていることがありますが通常はばね定数ではなくショックアブソーバーの減衰率を可変にすることで対処しています。
サスペンションの設計者は車両の挙動の安定性を念頭に設計をします。
ホイールの上下動に伴うトー変化に注目します。
またブッシュを伴ったリンクの受ける前後力や横力の結果としての変形(コンプライアンス)に起因するトー変化にも着目します。
一般的にはアンダーステアー傾向となるようにパラメーターを調整します。
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私が5-6年前に中国の南方のある町で電気自動車のベンチャー企業の仕事をしていた時、プロトタイプ車の設計を現地の若い技術者と
一緒に取り組んでいました。ツールhはCATIAでエクセルでプログラムを作ってアライメント変化の計算をしていました。
部品は車体部分はアルミの押し出し材を加工しました。モーターインバーターはその会社の内製品、ラック&ピニオンステアリングギヤはメーカーの既製品
ステアリングナックルは総削りで新製しました。ディファレンシャルギヤと等速ジョイントは中国メーカーの既存品を流用しました。
スタビライザーは日本のメーカーの中国工場に発注しました。アッパー・ロアアームは現地に進出している日本のサプライヤーに発注しようとしました。
試作車は一応完成して低速で走行できました。
その後おそらくその会社は電気自動車から撤退したと思います。ほかにも雨後のタケノコのようにベンチャーが乱立していましたが、そのほとんどが撤退したと思います。
当時の経営者は資産を持て余しているようでしたが資本を集中的に投入する決断がつかず逐次に戦略なく投入していたようです。
中国の製造業は当時勢いがあって経営者に野心があったようですが、小さなモーターを米国市場に輸出した実績しかないメーカーが抱く夢としては自動車業界というものの規模が大きすぎたようです。
捲土重来のチャンスが今後あるかどうかということには悲観的にならざるを得ません。
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自動車会社には多くの従業員がそれぞれの任務に従事しています。
いわゆる組織といわれるシステムの中で職務を遂行しています。これが長年継続する中で
世代交代が常に起こっています。それが問題となることが多いのではないかと思います。
マニュアルを整備しつくしたと思っていても暗黙知のレベルのマニュアル化が難しくて
モラルを含むその会社のカルチャーに不連続な部分が生じ、事件に発展するケースが頻発しているようです。
一口で言えば担当者の世代交代に伴って技術の伝承に支障をきたす事象です。当然組織のリーダーに全責任があります。
経営のトップは最終的に責任を負うのですが、個々の事象の原因にかかわっていないケースが一般的です。
マネージャーレベルに権限を委譲して組織を運営する手法の方がベターという意見があり、組織改編がされました。
私がかかわった限り結果は良かったと思っていますが、他の機能の担当者は不幸にも大規模な品質に関する事件にまきこまれました。
製品不具合が究極的に問題化するまで多少の時間的な余裕がありこの間にマネージャーがどう取り組むかが勝負の分かれ道です。
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昔は車両の旋回を考えるとき、車両の受ける遠心力という概念を良く用いていました。
現在は物理学に忠実に向心力という概念で説明します。
車両から離れてみた場合円運動の車両には向心加速度(V[車速m/sec]^2/R[旋回半径m])が作用します。
米国の教科書でも車両に働く横方向の力の和(前後アクスルのコーナリングフォース)=車両の質量×向心加速度centripetal acceleration
と表されています。
同じことでも現代的な表現の仕方が求められているようです。
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個人的な見解ですが、現在 町の厄介者は原付バイクと2トン級のトラックと思います。
というのもラジオを聴きながらの散歩を妨害するからです。
かつて内燃機関全盛の時、本田宗一郎さんのスーパーカブは町の人気者でした。
また2トントラックも集配のエースであったことがありました。
中国ではバイクはほとんどが電動です。
音もなく歩道を集団で走行するのをよく見ます。これはこれで奇妙な光景です。
日本では現在、町の静寂を破るのは電動化が遅れているバイクと集配用のトラックです。
個人的な感想としては電動化を進めて町の静寂を取り戻してほしいということです。
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reinventing the wheel という言葉があります。
既に理論が確立したものを再び詳細を述べるという意味です。
英国の著者が巻頭で述べていることで無駄な試みはやめて既存の理論を受け入れろ
ということと思います。自動車のシャシーの理論はある程度すでに確立していて
革新的な事象は現在少ないということかもしれません。
かつては発表論文は英米のものが多く日本もある程度貢献していました。
現在グローバルサウスの人々が積極的に発表しているのを目の当たりにします。
自動車の工学的な裾野の広がりには敬意を払う必要があると思います。
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EV用のバッテリー技術と自動運転に現在話題が集中しています。
ちょっと前には内燃機関の排出ガスが話題の中心でありました。
大型トラックの世界では電動化まで待たずにCO2排出を削減する手段として
水素燃料に対する期待が高まっているそうです。
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サスペンションとは
語源的には昔の馬車の吊り下げたゴンドラを意味するそうです。
ホイールからの突き上げがゴンドラには伝わらないので、ばねのないアクスルからのショックがない
ため悪路の長時間走行に乗員が耐えられたということです。
自動車との違いはステアリングがないということで
吊り下げ方式は現代の自動車には適用できません。
ただ路面からの振動から乗員を隔離するということは自動車のサスペンションの基本機能であります。
隔離とともに重要な機能はタイヤと路面の接触による負荷を維持するということです。
これによって段差通過時や穴への落下時に負荷を維持することによって制御可能とすることです。
ばね下の共振を防止することやタイヤのばねストロークに伴うトー変化を適正に設定すること、
サスペンション部品間の結合部品の変形によるOSを避けることも必要です。
あとはコストを適正にしながら顧客満足度を維持することなどがエンジニアに課せられたタスクです。
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タイヤと路面の接触状態を安定させることはタイヤにかかる負荷を安定させることで操縦安定性を
考えるうえで不可避の条件です。陥没路やバンプ路においても安定したタイヤの負荷を維持することは
操縦の安定性上必須の条件です。ばね定数を低くすることは路面の衝撃からキャビンを隔離するうえで
望ましいことですがピッチングやローリングが伴うので限界があります。
フロントサスペンションの固有振動数は乗用車で1Hz-1.5Hzに保ちます。
慣性半径kを(ばね上質量の重心から前軸までの水平距離a) 後軸までの距離bとおいて
作成した指標x=kの2乗/ab を0.9あたりにするとピッチングとバウンシングの比率がまあまあ良いといわれています。
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インターネットが選挙結果に大きく影響を及ぼしたなどと言われています。
本ウエブサイトも出版という形態から移行しているネット媒体ということもできます。
活字媒体では誤記が頻発します。ウエブでは誤記を発見次第更新が可能です。
SAEが出版している図書でもしばしばケアレスミスが発見されます。
賢明な読者は小さな間違いをあまり気にせず本質を理解しますが
初学者にとっては迷惑な話でしょう。
いづれにしても誤りは迅速に訂正する必要があります。
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世界の電気自動車を間近で見る機会が増えました。
米欧中のバッテリーパックは軽量なアルミニウム製が多いのに気付かされます。
シャシーの構造部品もギガキャストとなっています。
日本車はスチールの板金製が主流です。
コストを考えた末の結論でしょうが、技術的には古い感があります。
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JAXAがトヨタ BSなどと共同で構想している月面車の構想図を見ますと前2軸後1軸の
車両でした。月面の重力が地球の1/6 タイヤがスチール製など難しい条件での操舵をシミュレーションしているものと想像します。
コーナリングフォースを確保するためのホイール配置と思われますが詳細は分かりません。
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品質管理について勉強しなおす機会があり、故石川馨先生の著書を読んでいます。
戦後、アメリカに敗戦したあと日本の技術を如何に再建するかということが暗黙の課題であったことがうかがえます。
一つは民主的な職場の運用ですが、最大のテーマは統計的な手法の普及ということです。
世界の生産現場では耳にタコができるほど教育されている事項と思われます。
故田口玄一が逝去された後、品質工学(田口メソッド)の活動は話題の中心から遠ざかりつつあるようです。
しかし、TQC活動は今なお継続しているように思われます。
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私が関与している電動モビリティー大学が公式コメントを出しまして、
来年度より学生募集を停止する旨発表がありました
本WEB SITE では講義録と兼ねた内容を公表しておりました
大学での活用は当面不要となりそうですが本web siteでは従来通り継続いたします